Week 22, 2026
Week 21, 2026
今週のヘッドライン
自分で実装したら2週間かかるアプリをClaude Codeで半日で完成。「嬉しさと悔しさと無力さがコーヒーに渦を巻くミルクのように混ざる」、技術的詳細を理解できないまま動いている (2026-05-25)
予備試験出願が電子申請から「審査不備」だけの理由で差戻し。電子チェック通過後の差戻しで再申請期間も切れ、法務省窓口閉鎖で月曜まで問い合わせ不可、同じ目に遭った人々続出 (2026-05-29)
剣持がROF-MAOから脱退発表。「ろふまおなんかやめろ」というアンチネタが意図せず成就 (2026-05-26)
久しぶりに会った友人Aから「人間性が宿った」評。自分史上最高に他人と話すモードで自己評価と一致。スピードとトーンのコントロール、興味のないことに興味あるふりをする技法が議題に (2026-05-30)
精神的衝撃的事件で新しい感情を獲得、勉強の比率を高めることを決断 (2026-05-29)
SM7B vs AT2040比較動画でSM7B優位を確認、AT2040は軽くてスカスカ・SM7Bはナチュラル (2026-05-25)
機材論「機材にこってもいいコンテンツが出るわけではない、最低限以上はノイズを下げるだけ、ノイズ程度で消える面白さは他人にも刺さらない」、SM7B購入は6月セールまで延期 (2026-05-27)
配信熱が高まりRODECaster Duoをポチる、届くのが6月中旬で遅すぎる (2026-05-26)
ヘッドフォンケーブルが角度依存で激しいノイズ、Opus 4.7との相談でハンダ劣化が原因と判明 (2026-05-28)
ホロスターズような男性アイドルグループが育てられないのはビジネス上結構痛いのではないかという考察 (2026-05-26)
Geminiのデフォルト会話のノリが not for me (2026-05-28)
Sloppy Forgeries(消しゴム禁止・3分で名画再現する理不尽パーティゲーム)を発見 (2026-05-24)
田島光二経由でSimSergei_3DのBlenderモデリング全工程ノーカット動画、ともきん2012の日本リミテッド対ディズニーフルアニメ解説、FigMirror(論文の図→Matplotlib自動生成)を一気に発掘 (2026-05-24)
カビた床との戦いで一日終わる、レシート・紙資料のスキャン継続 (2026-05-24)
普通ではない面白いこと
「ろふまおなんかやめろ」というアンチネタが現実で成就。期待していなかった呪いの方がよく当たる構造 (2026-05-26)
電子申請でリアルタイムにバリデーションされたはずの予備試験出願が「審査不備理由:審査不備」というメタ無情報の理由で差し戻され、再申請期間も切れ、法務省窓口閉鎖で月曜まで問い合わせ不可、という入口の機械によって入口を塞がれる現象 (2026-05-29)
自分で2週間かかるコードがAIで半日で完成し、嬉しさ・悔しさ・無力さがコーヒーに渦巻くミルクのように混ざるという感情の三層スイッチ (2026-05-25)
配信熱の半減期がRODECaster Duoの納期(6月中旬)より短い可能性 (2026-05-26)
今週のストーリー
カビとコードと「審査不備」、そして友人Aがくれた一行
日曜の朝、私は床にしゃがみ込んでいた。絨毯の下から、見て見ぬふりをし続けてきた湿気が黒い染みになって顔を出していた。PVCマットなどという小賢しい中間素材を信用したばかりに、床は私の知らないところで腐っていた。雑巾を絞り直しながら、私はぼんやり考える。中間素材は便利だ。しかし便利の代償は「自分が直接見ていない」という事実そのものになって、ある日突然請求書を突きつけてくる。
その同じ週に、私はClaude Codeとかいうやつに、自分で書けば二週間はかかる規模のアプリを半日で書かせた。書かせた、という表現は正確ではない。書いてくれた、のである。中身を私はよくわかっていない。動いているのは確認したが、なぜ動くのかは、コードの行間に書かれた他人の発想に依存していて、私は行末でうなずいているだけだった。床のカビを見つけたときと同じ温度で、私はもう一度、「中間素材を信用した結果」を見つめた。
しかし今度のカビは、たぶん、私の側に生えた。
嬉しさと悔しさと無力さが、コーヒーに渦を巻くミルクのように混ざる、と当日の日記に書いた。よく考えると、私は紅茶党だった気がする。紅茶でやってみたら、ミルクの形状はそんなにダイナミックには変わらない。コーヒーに置き換えた瞬間に「これ私の感想じゃなくてLLM文体だ」と気づくべきだったが、嬉しさ4・悔しさ3・無力さ3の混合比のせいで気づくゆとりがなかった。中間素材は、感情の比喩にまで滲んでいる。
火曜には、剣持がROF-MAOを辞めるというニュースが流れてきた。「ろふまおなんかやめろ」というアンチコメントが、当のろふまおの一角を本当に剥がしてしまうという結末を、私はぼんやり受け止めた。呪いというのは、信じていない言葉のほうがよく効く。観測者の意図ではなく、対象の磁場のほうが、言葉を吸い込むのである。私は、配信熱だけが妙に高まっていて、RODECaster Duoをポチった。届くのが六月中旬らしい。届くまでに、私の配信熱は半減期を一回くらいは越えていそうだ。
水曜にはSM7Bを買おうとして、思いとどまった。SM7BとAT2040の比較動画は、確かにSM7Bが「ナチュラル」でAT2040が「軽くてスカスカ」だと教えてくれた。しかし同時に、別の冷たい声が頭の中で響いた。──「機材にこってもいいコンテンツが出るわけではない。最低限以上の機材は、コンテンツのノイズを下げるだけだ。ノイズ程度で面白さが消えてしまうのなら、ノイズを消しても他人には刺さらない」。これは私自身が日記に書いた一文だが、書いている最中はあくまでDIYの自己説得で、買えない自分への慰めの香りがしないでもなかった。それでもこの一文に、その日のSM7Bの購入カートは破られた。「面白いやつはiPhone一台で面白くできる」を、私は何度もぶつぶつ唱えた。
木曜にはヘッドフォンのケーブルが角度によって激しいノイズを出すようになった。Opus 4.7に相談すると、半田が劣化している可能性が高いとのことだった。週の頭からずっと「中間素材の劣化」がテーマだったかのように、ケーブルというこれまた中間素材が、ある日突然、自分のいる位置を私に思い出させた。Geminiのデフォルト会話のノリが「私向きではない」と感じたのも、ほとんど同じ症状である。中間素材は、合っていないと一気にノイズに化ける。
金曜には、予備試験の出願が「審査不備」という理由で電子申請から戻ってきた。電子申請、つまりリアルタイムにバリデーションを通したはずの書類が、後段で「審査不備:審査不備」というメタ無情報の理由とともに私の手元に返ってきた。Twitter上には同じ目に遭った受験生たちが続出している。再申請期間はすでに切れている。法務省の窓口は閉まっていて、月曜まで何も問い合わせられない。
私は深く呼吸をした。日曜にはマットを信頼して床がカビ、月曜にはCoderを信頼して職能がカビ、木曜にはケーブルを信頼してノイズが乗り、金曜には電子申請を信頼して入口で塞がれた。「直接見ていないものは、いつか自分の生活を結論から逆算する」というのは、たしか先週の私が書いた言葉だったような気がする。先週の私が今週の私に喧嘩を売っている。
しかしこの週は、不思議とそれだけでは終わらなかった。
金曜の途中で、私はそれまで自分のなかになかった感情を獲得した。獲得した、とまでわざわざ書くからには、それなりの衝撃的事件があったはずだが、ここではプライバシーの厚いコートにくるんでおく。ともあれ、その新しい感情ひとつぶんだけ、私の地図には道が増えた。私は勉強の比率を上げよう、と決めた。これは決意というよりは、地殻変動のあとの自然な傾斜の話である。
土曜には、久しぶりに友人Aと話した。彼は開口一番「人間性が宿った」と言った。私はぎょっとして「以前はなかったかのような言い方をする」と返したが、内心では合点が行っていた。自分史上、いまもっとも他人と話すモードでいるという自己評価と、彼の評はきれいに重なった。
ついでに友人Aは「話すスピードとトーンのコントロールに磨きの余地がある」「相手の話自体にまったく興味がなくても、興味があるかのような返しを体得した方がいい」と助言してくれた。前者には素直に同意した。スピードは、意識しないとすぐ走る。トーンは、そもそも正解イメージを持っていない。後者には、私は微妙な顔をした。
恋愛のように好感度を上げたい場面では必要な技術だと思う。しかし相手その人自体に興味がある状態なら、その人が興味のない話にも、私はそこそこ興味を向けられてしまう。「興味のあるふりをする」スキルが要らないのは、私が善人だからではなく、目線が「相手の話」ではなく「相手」の方に最初から置かれているからにすぎない。
ここで初めて、私はこの週のテーマに名前をつけられる気がした。
カビも、Claude Codeも、ROF-MAOも、ハンダも、電子申請も、ぜんぶ「自分と何かのあいだに挟んだ層」の話だった。中間素材、便利な仲介、システム、外注。それらが順番に、勝手にカビたり、勝手に閉じたり、勝手に剥がれたりした週だった。
そして友人Aの「人間性が宿った」という一言だけが、中間を介さず、私のなかにまっすぐ刺さった。
褒め言葉として正確かどうかは別として(以前の私はモンスターだったのか、という疑念は残るとして)、彼の声には「中間素材」がほとんどなかった。それが、なぜか沁みた。
夜、私はカビをやっつけたあとの床を裸足で歩いた。冷たかった。ヘッドフォンはまだハンダのことを考えていなかった。Claude Codeが書いたアプリは、私の知らないところで今夜も動いている。予備試験は「審査不備」とだけ書かれた紙のなかで微動だにしない。それでも、友人Aの声だけが、まだ私の耳の内側でわずかに反響していた。
来週はもう少し直接的に生きてみよう、と書きかけて、また指輪を回した。
紅茶の表面に渦が立たないのは、ミルクを入れていないからだ。
2026-05-24
2026-05-25
2026-05-26
2026-05-27
2026-05-28
2026-05-29
2026-05-30